世界樹の名の下に

このブログは『ハヤテのごとく!』の水蓮寺ルカを全身全霊で応援します。
世界樹の名の下に TOP  >  スポンサー広告 >  SS  >  ハヤテのごとくSS >  雨、後、晴れ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

雨、後、晴れ

ハヤテのごとくの一話完結で過去話です。



メインキャラは花菱美希と桂ヒナギクです。



感想とかをもらえるとやる気とテンションがあがります。



続きからどうぞ。




何で、私だけ。



何度も、そう思った。



何で、私なの。



何度も、叫んだ。



私は、ずっと雨に打たれていた。



雨は―――



―――嫌いだ。










【雨、後、晴れ】










雨が降っている。



「やーい!取れるもんなら取ってみろよ!」



「ねぇ、かえしてよぉ。ねぇ、かえしてったらぁ……」



目の前の男の子が私の筆箱を高く掲げている。



男の子は背が高く、私が届くはずがない。



私はただ、「かえして」と言うしか無かったのだ。



「ははは、チビのお前には届かないだろう」



男の子が笑った。



「……かえしてよぉ」



「やだよ。返してほしけりゃ取り返してみろよ」



男の子は私の筆箱を放り投げた。



落下してきた筆箱はそのまま男の子の手に収まる。



「……かえ……して、よぉ……」



水が目からこぼれ落ちた。



「な、何泣いてんだよ。ちぇ、お前、政治家の娘のくせにとろいよな。ほら、返してやるよ」



男の子は私が泣いてるのを見ると、そう言って私に筆箱を放った。



筆箱は、私の体に当たって床に落ちる。



―――なぜ、私は泣いたのだろう。



悔しかったから?



悲しかったから?



辛かったから?



どれにしろ、そんな自分が嫌だった。



その頃、私は塾でイジメにあっているのを親に言えなかった。



親に心配をかけたくない、と言うのも大きかったが、私は、嫌だったのだ。



親に言って、解決するのが。



それは勿論、泉や理沙にも、だった。



だから、塾を休む訳にはいかなかった。



休めば何故か、と問い詰められるに決まっている。



また、私のプライドがそれを許さなかったのだ。



「……はぁ」



溜め息が出た。



いつまで、こんな日々が続くのだろうか。



考えただけで鬱になりそうだ。



「どうしたの?」



声が聞こえた。



また、誰かが私をイジメに来たのだろうか。



もう、ほっといてくれ。



「ねぇ、溜め息なんてついてどうしたの?」



「……別に」



「じゃあさ、そんな暗い顔してないで嬉しそうにしなよ。そうしないと、幸せが逃げて行っちゃうよ?」



そう言われて、私は初めて顔を上げた。



すると、桃色の髪が目に飛び込んで来る。



「私は桂ヒナギク。あなたは?」



女の子は笑顔で口を開いた。



その笑顔に私は、自然と応えていた。



「花菱。花菱美希」



私が名前を告げると、桂さんは更に笑顔になった。



「じゃあ、美希ちゃん。よろしくね」



「……うん」



久しぶりに、笑顔になれた気がした。










授業が終わり、荷物を片付けている時だった。



ガムを噛みながら3人の男の子が私に近付いて来る。



「う~ん、ガムの味しなくなっちゃたわ」



「じゃあ、捨てれば?」



「そうそう、捨てなよ」



「そうだな。…………ぺっ」



男の子がそう言った瞬間、私の頭に微かな衝撃が走った。



ま、さか…………



私は恐る恐る手を頭へとのばした。



手に、ベトッとした感触がふれる。



「あ、花菱ごめん。そこに花菱がいるなんて思わなくてさぁ」



男の子達の言葉が遠くに聞こえる。



髪に、ガムがついた……



「う……うぐ……ひっく…………」



「あ~あ、また泣いたよこいつ。ったく泣き虫だなぁ」



何で、何で私なのだろう。



何で、私だけ……



「ちょっと?あなた達?何をしているの?」



桂さんの声だ。



「ん?桂か、こいつ泣いちゃてさぁ」



「へぇ?どうして泣いたのかしら?」



桂さんの声には怒気が混じっている。



なぜ、だろう。



「いゃあ、ミスってガムを花菱の頭に吐き出しちゃったんだよね」



「へぇ、そうなんだ~。それで?覚悟は出来てるの?」



「お、おい、桂?ちょ、どうしたんだ?」



「女の子の髪に?ガム?何をしたか分かってるの?」



「あ、いや、その」



「てんばーーーーつ!!」



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」



なぜだろう?



何で桂さんは怒っているのだろう。



私のため……なのか?



何で、私のために……



「ご、ごめ……うぅ」



「問答無用!覚悟!」



「うわぁ!ちょ、ごめ……っ、いたっ」



「うぅ、ひっく、ごめ……んなさい……」



桂さんはぽかぽかと男の子達を殴っている。



殴られてる男の子達は目に涙を浮かべていた。



「あ……もぉいいよ?」



「何でよ!コイツらにはまだまだ必要よ!」



「ぐふっ……う……うぅ」



「う……ぅ……ひっく……」



「ひっく……ぐすっ……ごめ……ん」



「てんばーーーつ!!」



「も、もぉいいから、もぉいいから……」



「何言ってるの!女の子の髪にガムなんて言語道断!」



桂さんは怒ると怖い。と、言うより男の子みたいだ。










「大丈夫?美希ちゃん」



「うん。桂さんが守ってくれたから」



「ふふ。当然の事よ。友達じゃない」



友達―――



久しぶりにその言葉を聞いた。



私は、気づけばずっと1人だったのだ。



「それにしても、何で美希ちゃんの事をイジメるかなぁ。あ、美希ちゃんの事が好きだからとか?」



「……違うよ」



違う。



そんな理由ならどれだけ良かっただろう。



どれだけ心が楽だっただろう。



「私が…………だから」



「え?」



「私が、政治家の娘だから」



私は、【政治家の娘】と言う肩書きがキライだった。



政治家の娘だからと言うだけで何でもできると思われるのはもう嫌だった。



私は、親とは違うのだ。



だから、私は【政治家】である両親が嫌いだった。



「へ~、美希ちゃんの親って政治家なんだ。スゴいね!」



「……私は、嫌い」



「そんな事言っちゃダメだよ。親が政治家なんて誇りに思うべきだよ」



……良くわからない。



そのせいでイジメられてるのに、誇りになんて思えない。



「……じゃあ、桂さんの親って何をしている人なの?」



「…………お父さんは、先生をしているんだよ」



一瞬、桂さんの顔が曇った。



私は、桂さんにそんな顔をして欲しくなくて。



「桂さん!」



「……え?」



「え……と、その、名前……美希って、呼んでくれる?」



そう、言っていた。



桂さんは、私の言葉に笑顔になる。



「うん。じゃあ、私の事はヒナでいいよ。美希」



「うん……ヒナ」



雨は、いつのまにか止んでいた。










それから、ヒナは私がイジメられる度に助けてくれた。



ピンク色の髪は頼もしく、強かった。



そんな、ある日。



その日も、雨が降っていた。



梅雨なのだ。



私がいつも通り塾に来ると、部屋の隅に人だかりが出来ていた。



「おい、お前の親って本当の親じゃないんだろ?」



「……そんな事、ないもん」



聞き慣れた声。



ヒナだ。



「嘘だな。俺の母ちゃんが言ってたぜ?桂の親は本当の親じゃない、って」



「…………」



「つまり、それってお前の事を捨てたって事だろ?お前、要らなかったんだよ」



「違う!お母さんは、お母さんは……!!」



「はは、やっぱ本当だったんだな」



「お母さんは、何か訳があって……」



知らなかった。



ヒナにそんな事があったなんて、知らなかった。



「馬鹿じゃねぇの?お前が嫌になったんだよ!」



男の子達が、ヒナに非道い言葉を投げつけていく。



私は、クルリと踵を返した。



今なら、ヒナの言っていた事が分かる気がした。



ヒナは、本当の両親が居ないから―――



今、頼もしく、強い桃色の髪は雨に打たれている。



いつまでも、弱いままじゃいられない。



「おい、花菱。どこに行くんだ?もう授業始まるぞ」



廊下で塾の講師とすれ違った。



「急用が出来たんで帰ります」



今度は、私がヒナを助ける番だ。










午後十時。



そろそろイジメの主犯が塾から出てくる頃だ。



手に持った手帳が震える。



緊張、しているのだ。



来た―――



男の子が出てきた。



幸い、一人。



「ねぇ、ちょっと良い?」



「ん?花菱?お前、今日休んでたじゃねぇかよ」



私は男の子に声をかけた。



「ちょっと、こっち来て。話があるから」



私はそう言うと路地裏へと向かった。



男の子もついてくる。



「で?話って?」



男の子は口を開いた。



どこか、高圧的な口調。



怖い―――



そんな思いがよぎった。



「ヒナの事、イジメないで欲しいんだけど」



しかし、すぐに追い払う。



「はっ!いつも桂に守ってもらってるお前が良く言うよ」



言って聞くような奴ではないと分かっていた。



でも、私は―――



私は、手に持っていた手帳を開いた。



「ん?何だ?その手ち「り○んが好きって意外ね」



「なっ!」



男の子の動きが止まった。



「って言うか、女装趣味があるのね。家に誰もいないときにお姉さんのタンスから服を出して着てるんでしょ?」



「そ、そんなわけ……!!」



「あ、まだおねしょしてるんだ……」



「な、何でお前そんな事!!」



男の子は顔を真っ赤にして叫んだ。



私は、ヒナの言葉を思い出した。



誇りを持ちなよ―――



「政治家の娘だから。調べるのは得意」



「な……」



「ヒナの事、イジメないでね」



「お、おう……」



雨があがって、空は―――



―――晴れた。




















もう、私は1人じゃない。




















~fin~
関連記事
スポンサーサイト
[ 2009/07/01 19:52 ] SS ハヤテのごとくSS | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

プロフィール

彗星

Author:彗星
ハヤテのごとく!のルカが最近可愛すぎて辛い管理人。
テイルズとハヤテのごとくが大好きです。それ関連の話を振りかけると飛びつきます。

このブログはハヤテのごとく!の水蓮寺ルカを応援するとともにSS・DWI等を公開していくブログです。

プレビューは畑先生のまんが家バックステージvol.316よりお借りしました。

SS目次はこちら。
SS制作表&ハヤテキャラ誕生日はこちら。

リンク・コメント・トラバフリーです。
相互リンンも募集してます。

何かありましたら、↓まで。
suisei_555☆yahoo.co.jp(お手数ですが、☆を@に変えて下さい)

FC2カウンター
カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
MHP3rd


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。